2017年度イタリア・オペラ研修助成対象者の発表


公益財団法人さわかみオペラ芸術振興財団(以下「当財団」)は、2017年2月~3月にイタリア(ボローニャ、トリエステ)と日本(東京、京都)の4会場において112名の参加のもと、計7日間の「イタリア・オペラ研修助成対象者選抜オーディション」を開催いたしました。

ボローニャではボローニャフィルの定期公演が行われるマンゾーニ劇場コンサートホール、そしてトリエステ・ヴェルディ歌劇場ではカヴァレリアルスティカーナの公演を控え舞台装置がセットされた本舞台にてオーディションを実施いたしました。音響・雰囲気ともに素晴らしい会場で、参加者の方々に実力を発揮していただくのにこれ以上ない舞台であったと思います。

ボローニャでは、昨年に引き続きルチアーノ・パバロッティやミレッラ・フレーニを教え子に持つレオーネ・マジェッラ氏、ボローニャフィルの理事長であるジョルジオ・ザニョーニ氏を審査員として迎え、トリエステでは歌劇場総裁のステファノ・パーチェ氏と芸術監督のパオロ・ロッダ氏も審査員として参加しています。
日本においては東京イタリア文化会館、京都国立博物館から協力をいただき、それぞれのホールにてオーディションを開催させていただきました。

日本、イタリアで会場が4か所に分かれ、全7日間の日程の中で受験者全員の評価基準を一定に保つため、審査員長のマエストロ吉田と理事長の澤上は全日程に参加、さらにボローニャ歌劇場とトリエステ歌劇場でそれぞれキャスティングを選定する立場にあるフルヴィオ・マチャルディ氏とアントニオ・タスカ氏が来日し、京都・東京のオーディションでも審査員を務めました。
研修助成対象者の選抜、さらにその先にあるイタリアの歌劇場でのデビューの可能性や将来性を見極める狙いを反映した選考を行うことができ、ご協力をいただいた審査員、関係者の皆様に改めて深く感謝いたします。

審査員による厳正な歌唱審査、および当財団による面接選考の結果、今年度の研修助成対象者を以下の通り決定いたしました。

イタリア研修助成対象者(2017年度合格者)

月額20万円
1年間
(12か月)
岡村 実和子(ソプラノ)
月額15万円
1年間
(12か月)
朝枝 恵利子(ソプラノ)
相原 里美(ソプラノ)
田中 絵里加(ソプラノ) 
松中 哲平(バス)

イタリア研修助成対象者(複数回目の合格)

月額20万円
1年間
(12か月)
武井 基治(テノール) 
月額15万円
1年間
(12か月)
岸 七美子(ソプラノ)
原 璃菜子(ソプラノ)
加藤 史幸(バリトン)

審査員

吉田 裕史(審査員長、ボローニャ歌劇場フィルハーモニー芸術監督、さわかみオペラ芸術振興財団芸術監督)/全4会場
Leone Magiera(指揮者、ピアニスト、コレペティトール)/ボローニャ会場
Giorgio Zagnoni(ボローニャ歌劇場フィルハーモニー 理事長)/ボローニャ会場
Fulvio Macciardi(ボローニャ歌劇場 公演監督)/ボローニャ・京都・東京会場
Stefano Pace(トリエステ・ヴェルディ歌劇場 総裁)/トリエステ会場
Paolo Rodda(同 芸術監督)/トリエステ会場
Antonio Tasca(同 公演監督)/トリエステ・京都・東京会場
澤上 篤人(さわかみオペラ芸術振興財団 理事長)/全4会場

当財団の研修制度について

この研修助成制度は、マエストロ吉田裕史の「もっと世界の舞台を志すオペラ歌手が日本から出てきて欲しい」という想いと当財団の「世界トップレベルを目指す熱い思いを持った歌手達にチャレンジできる機会を提供したい」という理念、そして私たちの活動を支えてくださる賛助会員の皆様のご支援、それらが結実して実現したものです。

オーディション参加者の中から、強い気概と優秀な実力を持った人物を選抜し、最長1年間イタリアで研鑽を積んでいただくための助成を行います。合格者は研修期間を「学習」して過ごすのではなく、歌劇場の舞台に立つための「実戦」の場とすべく挑戦することが求められます。したがって歌唱力はもちろんですが、世界中から集まってくる歌手たちに伍して歌劇場で出演の機会を勝ち取るだけの強い意志と情熱、堂々と渡り合える胆力、語学力、コミュニケーション能力を見極め選抜しております。

彼ら彼女らの強い気持ちに応えるべく、当財団は助成金に加えイタリア各地の歌劇場と築いた関係をもとに劇場内の研修やオーディションに参加するチャンスも提供しています。
これまでの合格者の多くがイタリアのトップレベルの歌劇場でのオペラデビューを実現し、さらに当財団とボローニャ歌劇場との共同制作による「ジャパン・オペラ・フェスティヴァル」への出演を果たしています。
2017年度の合格者たちにもイタリアの歌劇場での研修の機会が提供されることが決まっています。

そして当財団では助成支援を一度限りとはしてはおりません。
世界トップレベルを目指しての道のりは長く険しいものであるとの認識に立ち、さらなる成長を期待して長期的なサポートを行っております。
これまでの合格者も改めてオーディションに参加し、再度の合格となっている者もおります。
また、残念ながら再合格に至らず助成金支援が終了したとしても、成長への高い意欲を失わず努力を続けている者には、長期的な視野に立ちその成長の助けとなる機会の提供は惜しみません。

当財団は日本にオペラ文化を広げる活動の一環として、イタリア・オペラ留学助成をはじめ、日本人歌手や音楽家の育成支援を行っております。
当財団の理念に共感し、私たちの活動を支えてくださる賛助会員の皆様に深く御礼申し上げますとともに、より一層多くの皆さまからのご支援、ご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。

2017年4月28日
公益財団法人さわかみオペラ芸術振興財団

※なお、今回同時開催を行った「Japan Opera Festival 2017 ≪椿姫」ソリストオーディション」の選考結果についてはいましばらくお待ちください。