コープランド:組曲「アパラチアの春」
ー今週のテーマは、春の兆しー草木萠動(そうもくめばえいずる)
ー20世紀アメリカの作曲家コープランドの描く春! 白眉は第7曲!
『アパラチアの春』(Appalachian Spring)は、アーロン・コープランド作曲による「三大バレエ」の一曲。1944年10月初演。オーケストラ組曲として編曲されたものが広く知られている。このバレエは、13人編成の室内楽オーケストラのための作品として、振付師でダンサーのマーサ・グレアムの依頼とエリザベス・クーリッジ夫人の委嘱により作曲された。
この曲で描かれる物語は、1800年代のペンシルベニア州で、アメリカ開拓民達が新しいファームハウスを建てた後の春の祝典。中心人物は、新婚の夫婦、隣人、復興運動の説教者とその信徒たち。
第1曲: Very slowly 非常にゆっくり。光に覆われた中で、ひとりずつ登場人物が紹介される。
第2曲: Allegro 速く。突然イ長調の弦楽重奏のアルペジオが飛出し、動き始める。高揚と厳正さの双方の感情。
第3曲: Moderato 〈新郎新婦〉花嫁とその婚約者のための二重奏–優しさと情熱の場面。
第4曲: Fast 〈信仰復興運動主義者とその信徒たち〉素朴な雰囲気–スクウェアダンスの暗示と地元のヴァイオリン弾きたち。
第5曲: Allegro 〈花嫁のソロ・ダンス〉花嫁が一人で踊る–母性の予感。最高の喜び、恐れ、驚き。
第6曲: Meno mosso 非常にゆっくり(冒頭と同じ)。冒頭の音楽の追想による移行の場面。
第7曲: Doppio movimento 〈シェイカー教徒の賛美歌による変奏曲〉花嫁と、農夫の夫の日々の仕事の場面。シェーカー派の主題の変奏曲が5つ登場する。
 ソロ・クラリネットにより演奏されるこの主題は、エドワード・D・アンドリュースによって集められ、「The Gift to Be Simple」の題で刊行されたシェーカー派の音楽の中から引用されている。最もよく引用され、ほぼ文学的に利用されているメロディは、「シンプル・ギフト」と呼ばれる。
第8曲: Moderato: Coda 花嫁はいつも隣人に囲まれている。最後に、夫婦は「新しい家で静かに、力強い」気持ちを抱く。ミュートのかかった弦楽器が、静かな祈りのようなコラールの一説を詠唱。冒頭の音楽の追想で幕が閉じられる。
 演奏は、金聖響が指揮するベルギーのフランダース交響楽団。