ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」第1楽章
ー今週は指揮者フランソワ=グザヴィエ・ロトにフォーカス。
ー今日はブルックナー「ロマンティック」の冒頭第一楽章。
1874年1月2日に作曲を開始し、同年11月22日に書き上げられた(第1稿、または1874年稿)。
副題は原語では「Die Romantische」。しかしこの副題は出版されている譜面には添えられておらず、ブルックナー自身が「Die Romantische」という標題を付けたかは不明。
英語では「Romantic」と訳され、これが日本語での副題としても一般的に用いられている。
第1楽章 “Bewegt, nicht zu schnell”(運動的に、しかし速すぎずに) (1878/80年稿)/”Allegro” (1874年稿)
変ホ長調、2/2拍子(2分の2拍子)。ソナタ形式。 3つの主題を持つ。
第1主題の冒頭部分で、ブルックナーの得意な弦のトレモロ(これをブルックナーの“原始霧”という)が森林の暗い霧の中を連想させる。
ホルンの伸びやかなソロが奏でられ、やがてフルートやクラリネットに確保されつつ経過してゆく。ブルックナー自身によれば、朝に町の庁舎から一日の始まりを告げるホルンを意図しているという。
やがて第1主題第2句とも言える、独特な「ブルックナー・リズム」(2+3連音符)が刻まれ、全合奏による頂点を迎える。この第1主題は、全曲にわたって循環主題的に用いられる。
第2主題は変ニ長調で小鳥が囀るようなリズムを持つ。この第1ヴァイオリンの音形をブルックナーは「四十雀の“ツィツィペー”という鳴き声」であると説明している。変ト長調で確保され、発展して行くうちにゼクエンツで高揚し、変ロ長調の第3主題がユニゾンで豪放に出る。ただし、この主題は第1主題内において予告されており、いくらか形を変えたものとなっている。コラール風の楽句によって第3主題が遮られると、小結尾に入り第2主題が静かに戻る。ヴァイオリンの半音階の下降動機がヴァイオリンで奏され、ティンパニとトランペットが弱奏される響きの中に提示部が終わる。
展開部ではまず第1主題を中心に展開し、次第に荒々しい雰囲気となる。やがて厳かなコラール(合唱曲風の合奏)が登場し、明るい雰囲気となりつつ再現部に移行する。ほぼ型どおりに再現され、コーダでは第1主題が壮麗に奏でられる。
演奏は、ロト指揮ロンドン交響楽団。