モーツァルト:『きらきら星変奏曲』ハ長調 K. 265
ー今週のテーマは、チョン・ミョンフンとドヴォルザーク。
ーまずは、チョン・ミョンフンの素敵なピアノを!
鄭 明勳(Myung-Whun Chung, 1953年1月22日 – )は韓国ソウル生まれの指揮者・ピアニスト。アジアが生んだ国際的な指揮者としては、小澤征爾に並ぶ存在。
日本では長く東京フィルハーモニーの指揮者を務めており、ファンも多い。今週は、そのしなやかな音楽性に耳を傾けることにする。
 取り上げるのはドヴォルザーク。しかし初日は、ピアニストとしてのチョン・ミョンフンのこの素敵な演奏から始めたい。
 さて『きらきら星変奏曲』は、モーツァルトがウィーンに引っ越した頃、1781年-82年に作曲したピアノ曲。
 原題(12 Variationen über ein französisches Lied “Ah, vous dirai-je, maman” )を直訳すると、
『フランスの歌曲「ああ、お母さん、あなたに申しましょう」による12の変奏曲』で、当時フランスで流行していたシャンソン・歌曲。
このフランス歌曲のメロディが、モーツァルトの死後、『きらきら星』の歌詞と結びついた。
つまり、モーツァルトが生きていた頃は、まだ『きらきら星』という曲は存在していないため、このモーツァルトの変奏曲を
『きらきら星変奏曲』と呼ぶことに違和感がないわけではないが、このタイトルの方が出版社の立場からすれば「売りやすい」ことは間違いない。
 私たちが知っている歌詞の元である「Twinkle, twinkle, little star」は、1806年にイギリスの詩人、ジェーン・テイラーによって書かれた。
それは、モーツァルトが亡くなってから15年ほど経ってからのことだった。
主題   主題の提示だが、現在『きらきら星』として知られる曲よりも少し修飾がなされている。
第1変奏 16分音符と巧みな半音階の導入できらびやかな効果を出している。
第2変奏 左手のずっしりとしたアルペジョが速いパッセージで登場
第3変奏 右手のアルペジョで美しい音色を出す。
第4変奏 左手が10度飛ぶ厄介な部分。気まぐれな雰囲気を出す。
第5変奏 ここでは一度静まり返る。軽々しい和音に不協和音が一部混ざることにより、更にかわいらしさがあふれる。
第6変奏 左手の速いパッセージと共に右手がメイン。途中から右手に速いパッセージが来る。
第7変奏 右手の1オクターブのスケールで始まり壮大さが生まれる
第8変奏 ハ短調に転じる。ここでは短調の雰囲気で重々しく流れる
第9変奏 ハ長調に戻る。軽快な音が響き渡る。
第10変奏 手が交差する。和音と共に盛り上がる。
第11変奏 速度がアダージョになる。少々主題に手が加えられた部分もある。ゆっくりめで温和な雰囲気。最終変奏の前の緩徐楽章的な役割。
第12変奏 3拍子になる。左手の速いパッセージで始まり、非常に速い。最後は、大いにクレシェンドして終わる。