モーツァルト:「ねえ! 聞いてお母さん」(キラキラ星)
ー今週は、サビーヌ・ドゥヴィエルにフォーカス。
サビーヌ・ドゥヴィエルは、2011年にパリ高等音楽院を首席で卒業したばかりにもかかわらず、在学中から数々のオペラの舞台に立ち、話題となった。
超高音を楽々と美しい声で歌い上げる、コロラトゥーラ・ソプラノ。
リリースされているモーツァルト・アリア集で、モーツァルトの人生に深く関わった夫人を含むウエーバー家の三姉妹にまつわるアリア、「魔笛」の夜の女王のアリアや、キラキラ星変奏曲として有名な、「ねえ、お母さん聞いて」などが収録されている。
その一つが、ここで紹介するフランスの歌「ああ、お母さん聞いて」。1778年モーツァルトがパリにいるときに作曲されKV.265のキラキラ星変奏曲となった。アインシュタインは、これについて「意図された子どもらしいユーモアを持っていて最も貴重なものである」と述べている。
演奏はソプラノがサビーヌ・ドゥヴィエル、ラファエル・ピション指揮ピグマリオン。サビーヌは、ちょっとおしゃまなこども心を、チェンバロと古楽器オケと共に、
表情豊かに歌い上げている。
ねえ! 聞いてお母さん
何で私が悩んでいるのかを
優しい目をしたシルヴァンドル
そんな彼と出会ってから
私の心はいつもこう言うの
「みんな好きな人なしに生きられるのかな?」
あの日、木立の中で
彼は花束を作ってくれた
花束で私の仕事の杖を飾ってくれた
こんなこと言ったの「きれいな金髪だね
君はどんな花よりきれいだよ
僕はどんな恋人より優しいよ」
私は真っ赤になった、悔しいけど
ため息ひとつで私の気持ちはばれちゃった
抜け目のないつれなさが
私の弱みに付け込んだの
ああ! お母さん、私踏み外しちゃった
彼の腕に飛び込んじゃった
それまで私の支えは
仕事の杖と犬だけだったのに
恋が私をだめにしようと
犬も杖もどこかにやった
ねえ! 恋が心をくすぐると
こんなに甘い気持ちがするんだね!