ラモー:ポリヒュミニアのアントレ及びコントルダンス、歌劇「レ・ボレアド」から
ー今週のテーマは、春の兆しno.2ー弥生・蟄虫啓戸(蟄虫が戸を啓く)
「北風の神ボレアスを信奉する人々(ボレアド)」の女王が、身分違いの恋を貫いて終につかみとる『愛の勝利』の物語。
「レ・ボレアド」はラモー最晩年79才時の作で、バッハが亡くなって13年後の1763年、七年戦争終了の祝賀に向けてパリで作曲された。しかし稽古の途中で頓挫し、なんと初上演は1964年のフランスラジオ放送まで待つことになる。不幸にして201年もの長い間、国立図書館に眠らされていたラモーの作品は、老齢の翳りなど微塵も感じさせることのないみずみずしい若々しさに溢れ、ロマン派の薫りさえ醸し出す傑作。
ちなみに古代ギリシアでは、東西南北を表す象徴に風神の姿を用い,各風神の性格をそれに対応する方位の特徴とも関連づけた。すなわち北風の神ボレアスBoreasは厳しく荒々しい性質を持ち,西風の神ゼフュロスZephyrosは春と生命をもたらす優しい青年,南風の神ノトスNotosは力強く,また東風の神エウロスEurosは豊饒を恵む神とされる。ということで、昨日のモンテヴェルディの西風は春の風、今日のラモーの北風は厳しい風ということになる。
ここでは第4幕からポリヒュミニアのアントレ、第1幕からコントルダンスを聴いていただきたい。
演奏は、ジョルディ・サヴァール指揮ル・コンセール・デ・ナシオン。