まさか、オペラを手がけることになるなんて。
こんなにもオペラ事業にのめり込むことになるとは。
もともとクラシック音楽は好きだが、オペラには縁がなかったその男が、最近はオペラ文化を広める活動に、どんどんのめり込んでいっているのです。オペラのどこに魅せられたのですかって?
どうやら、「オペラが好きで好きで、オペラに生きている」といった人たちの、生きざまに魅せられたようです。
オペラといえば本場イタリアですが、イタリアのオペラ関係者との縁が急速に太く広くなっています。それがまた、すごく楽しいのです。なにしろ、彼らのオペラを愛する純粋さは、職人そのものです。ひたすら、良いものを手作りしていこうとする姿には崇高ささえ感じさせられます。
そういった「オペラの職人」たちとの接点が増すにつれ、ますますオペラに対するのめり込みが強くなります。それは歌手や演奏家たちだけではありません。指揮者、演出家、舞台監督、照明、衣裳といったオペラ関係者のいずれも、オペラが好きでたまらないのです。生活の糧を稼いでいくとかの次元を超えて、「たとえ食えなくても、オペラとともに生きていく」といった生きざまに、強く魅かれます。
そうはいうものの、芸術で生きていくというのは厳しい世界です。いつでも、プロとしてのレベルというか実力が問われます。彼ら彼女らは技術的なレベルや芸術性の高さのみならず、人間性の豊かさや魅力といったものを磨き続けなければなりません。そういった厳しさなど無縁といった顔でして、日々をオペラとともに生きている。やはり本当にオペラが好きなんでしょうね。それでこそ、世界の舞台に立てるのです。
なにが、そうも彼ら彼女らをオペラに駆り立てるのでしょう?
オペラも音楽も、その時その場かぎりのものです。後には、影も形も残らない。ただ感動だけが観客の心に残る。そこに人生のすべてを賭けているわけです。そう、瞬間芸術というか空間芸術に生きていると言えましょう。そんな「オペラの職人」にとって、舞台はまさに命の発露です。彼ら彼女らからしますと、その日その晩コンサート会場にお越しの皆様が、期待で盛り上がってもらえればもらうほど、ますます気合が入ります。そこに、すごい一期一会が生まれます。
さわかみオペラ財団が本物のオペラを追求する狙いも、その一点です。オペラが好きで好きでたまらないオペラ職人たちと、観客の皆様とが鳥肌の立つような感動で一体となった最高の一期一会をつくっていく。
これまた楽しからんやです。
PROFILE
さわかみホールディングス株式会社代表取締役、一般財団法人さわかみ財団代表理事、公益財団法人お金をまわそう代表理事。
1971年から74年までスイス・キャピタル・インターナショナルにてアナリスト兼ファンドアドバイザーとして活躍。その後、80年から96年までピクテ・ジャパン代表を務める。96年にさわかみ投資顧問(現 さわかみ投信)を設立し、99年には「さわかみファンド」を設定した。これまで「さわかみファンド」1本のみの運用で純資産は約3400億円、顧客数は11.7万人を超え、日本における長期運用のパイオニアとして熱い支持を集めている。また昨今は「カッコ好いお金の使い方」のモデルとなるべく財団活動にも積極的に取り組んでいる。