japan opera Festival 2019-アルバム-

Japan Opera Festival
アルバム

名古屋城 野外オペラ「蝶々夫人」並びに、ボローニャフィルハーモニー管弦楽団 特別ガラ・コンサートに
ご来場されたお客さまへ 【Japan Opera Festival 2019】

9/26・9/27・9/28・9/29・9/30の全5日間の公演を、無事開催することができました。
ご来場された方々に、心よりお礼申し上げます。

公益財団法人さわかみオペラ芸術振興財団 スタッフ一同

愛なき人生は、水のない庭園、もしくは葉のない樹木

閉ざされた壁の内側の世界が混在する
明治時代の日本を描く

今回、この様な壮大なプロジェクトに参加し、演出を手掛けるチャンスは奇跡的とも言え、演出家にとってはまさに夢の様な機会です。

オペラ「蝶々夫人」の演出では、歴史的建造物である城をただの借景にとどめることなく、物語の中の狂言回し的役割に仕立て上げ、ジャコモ・プッチーニの音楽と融合させました。

二の丸庭園に着想を得て設置する舞台は、絢爛豪華な本丸御殿につづく離れとしてこの物語の中心をつかさどり、その離れにつづく回廊で歌う蝶々さんをはじめとする歌手たちは、まるで岩の上に不均等に広がる根の上に浮かんでいるかのように見え、美しく親密的な空間を作り出します。

さらに舞台は、オーケストラを包み込み、情愛から最後には悲劇へと変化する物語の鼓動となります。

今年、新年号となり新しい時代を迎えた日本に思いを募らせ、近代国家へと躍進しつつ、一方には伝統と国家権力を象徴とする巨大な天守閣、他方には長崎の港と未来を期待しながらも閉ざされた壁の内側の世界が混在する明治時代の日本を描きました。

激動の時代に翻弄され、一途な愛に巳を焦がし、新しい人生を追い求める蝶々さん。
愛情に勝るものなしと信じ、愛情だけを追い求める蝶々さん。

蝶々さんにとっての愛なき人生は、水のない庭園、もしくは葉のない樹木。

(演出家:ガブリエーレ・リビス)

「プッチーニの音楽的特質」

それは私にとって、色彩感と溢れるカンタービレを意味します。

ほとんど魔法ともいえるそのオーケストレーション(楽器法)は、ありとあらゆる種類のドラマトゥルギーをあますとこなく表出します。
このオペラの冒頭、オーケストラは蝶々さんの波乱万丈の人生を暗示するかのように劇的なテーマを演奏しますが、私はオーケストラに対し、密度の高いハイテンションなサウンドをリクエストし、最初の16分音符から強烈で悲劇的なアクセントを要求します。
この疾風怒涛の如き導入部の後、わずか十数秒後にピンカートンとゴローが登場するシーンに入るや否や、音楽は一変し、明るく軽やかで洒脱、エキゾチックな風情を醸し出し、少し戯けてさえ見せるのです。こうした色彩やドラマの変化がオペラ全編にわたり、つづくのです。

日本やアメリカの楽曲の取り込み方も絶妙で、プッチーニは完全に自家薬籠中の物としています。例えば、ピンカートンとシャープレス、二人のアメリカ人が祖国を想いながら二重奏を繰り広げるシーンでアメリカ国歌が効果的に用いられますが、それは単なる「借曲」にとどまらず、二人の人間性の間違いや異なる心情を描写する為に、プッチーニ独特のオーケストレーションが施されています。

君が代、さくらさくら、越後獅子、お江戸日本橋、宮さん宮さん、かっぽれといった数々の日本の旋律が、それらの曲の「オリジナルな背景に関わらず」自由自在に卓越した技法によって、このオペラの随所にちりばめられているという事実には、ただただ感嘆するほかありません。

プッチーニカンタービレ、それは「サウンドのうねり」と言い換えることができるかもしれません。音のうねりが徴収に届いた時に、舞台と観客席すべてが渾然一体の空間となり、音楽に包まれていくのです。極上のサウンドと魅力的なうねりは、時に耽美的陶酔感さえも生み出しますが、それは歌手、コーラス、オーケストラすべての音楽家が一体化するというミラクルな瞬間にのみ生み出されます。少しでも息が合わなかったり、方向性や音楽性がずれていると、極上のカンタービレ(うねり)が空間を満たすことはないのです。

オペラの指揮者の役割、それは音楽性と技術をもって、歌手、コーラス、オーケストラを導きすべての音楽家や関係スタッフと一体となってそのミラクルな感動の瞬間と空間を生み出すことです。

(芸術監督:吉田 裕史)

公演内容

  • [1部]オペラ「蝶々夫人」を隅まで解説!

    解説タイトル
    「美しき蝶の劇的なメタモルフォーゼ…耐える愛、胸に秘められた誇り!」

  • [2部]オペラ歌手による「歌のコンサート」

    イタリア歌曲、オペラのアリアを演奏
    「蝶々夫人」よりアリア・デュエット    など

チケット料金

一般:1,000円
学生:500円 ※小中学生、高校生

※当日は補足資料として、配布資料をご用意します。
※小中学生、高校生の方は身分証の提示をお願いいたします。

※未就学時の入場は、お断りさせていただきます。
※会場にお越しの際は、公共交通機関をご利用ください。
※公演内容・出演者は変更となる場合がございます。あらかじめご了承ください。

公演ギャラリー

オペラ解説者

koichi ito

伊藤 宏一(千葉商科大学教授・哲学者)

専攻は、パーソナルファイナンス、ソーシャルファィナンス、金融教育、ライフデザイン論。公益財団法人さわかみオペラ芸術振興財団理事。NPO法人日本FP協会専務理事、日本FP学会理事。「金融経済教育推進会議」(文部科学省・金融庁・消費者庁などで構成)委員。人生100年に対応したライフプラン3.0を提唱、環境・社会課題の解決を目指すESG投資やシェアリング・エコノミーなどの研究に従事。著書等に「人生100年とライフプラン3.0」(『月刊 企業年金』2017/11)、「シェアリング・エコノミーの展望-共有資本化とライフプラン3.0における家計管理」 (『生活経営学研究』 2018/03)、『実学としてのパーソナルファイナンス』(編著 2013 中央経済社)、翻訳にH・アーレント『カント政治哲学の講義』(法政大学出版局)、アルトフェスト『パーソナルファイナンス』(日本経済新聞社)など。
また政治経済史・文化史を背景としたクラシック音楽解釈を探求。さわかみオペラでは毎年Japan Opera Festivalのプレイベントでオペラ解説を担当。歴史的・文化的に掘り下げた興味深いトークで好評。

アーティスト紹介

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紙谷 一帆(ソプラノ)

出演日:6/10(京都)
大阪音楽大学卒業。同大学院音楽研究科声楽専攻声楽研究室オペラ系修了。日本演奏家コンクール、大阪大会第1位、全国大会第3位、神戸市長賞受賞。大阪国際コンクール、エスポワール賞受賞。東京国際音楽コンクール入選。全日本学生音楽コンクール全国大会大阪大会入選。飯塚新人音楽コンクール入選。オペラでは、「魔笛」夜の女王・ダーメ2、「ドン・ジョヴァンニ」ヅェルリーナ、「フィガロの結婚」スザンナ、「リゴレット」ジルダなどに出演。また、新作オペラ「パンドラの箱」パンドラで出演。高須礼子、荒田祐子の各氏に師事。イタリア、ドイツ、デンマークに留学し、Paolo Vaglieri氏のマスターコースにてディプロマを取得、師事する。

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中川 郁文(ソプラノ)

出演日:7/14(東京)
兵庫県出身。奈良教育大学教育学部卒業、京都市立芸術大学大学院声楽専攻修了。大学院を修了してすぐ「カルメン」ミカエラでデビュー(2016年)。続けて「ラ・ボエーム」ミミ、「フィガロの結婚」伯爵夫人、「こうもり」ロザリンデに抜擢される。在学中にも「魔笛」パミーナ(アンダースタディ)、「天国と地獄」エウリディーチェ、「愛の妙薬」アディーナなどに出演。ベートーヴェン「第九」ソリスト、京都にてジョイントリサイタルの開催、各地の教育機関での招待演奏やサロンコンサート、熊本でのチャリティーコンサート等、全国各地で芸術活動に力を注いでいる。現在、サントリーホールオペラ・アカデミー4期生として、世界的テノール歌手であり指揮者のジュゼッペ・サッバティーニ氏の指導の下、研修中。

Japan Opera Festival 2019 PV