野外オペラ「蝶々夫人」名古屋城天守閣前広場特設ステージ

野外オペラ「蝶々夫人」
名古屋城天守閣前広場特設ステージ

開催概要

ジャパン・オペラ・フェスティヴァル 2019
野外オペラ「蝶々夫人」

日時
2019年9月26日(木)・27日(金)・28日(土)・29日(日)
開場 17:00 開演 18:00(全公演共通)
会場
名古屋城天守閣前広場 特設ステージ
演目
オペラ「蝶々夫人」
全2幕/原語上演/字幕付き
作曲
ジャコモ・プッチーニ
台本
ルイージ・イッカ、ジュゼッペ・ジャコーザ
原作
ジョン・ルーサー・ロング「蝶々夫人」(短編小説)
デーヴィッド・ベラスコ「蝶々夫人」(戯曲)
主催
ジャパン・オペラ・フェスティヴァル実行委員会
公益財団法人さわかみオペラ芸術振興財団
共催
名古屋市 テレビ愛知
協賛
松坂屋名古屋店 大和合金株式会社
後援
在日イタリア大使館 イタリア文化会館
名古屋日伊協会 名古屋市教育委員会
名古屋商工会議所
一般社団法人中部経済連合会
公益財団法人名古屋観光コンベンションビューロー
助成
文化庁文化芸術振興費補助金(国際芸術交流支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会

 

出 演

指揮:吉田 裕史

演出:ガブリエーレ・リビス

Rosso ロッソ

出演日:9月26日(木)28日(土)

  • 蝶々夫人:レナータ・カンパネッラ
  • ピンカートン:ロレンツォ・デカーロ
  • シャープレス:マルチェッロ・ロジェッロ
  • スズキ:ソフィア・コヴェリゼ

Bianco ビアンコ

出演日:9月27日(金)29日(日)

  • 蝶々夫人:マリリー・サントーロ
  • ピンカートン:マックス・ヨータ
  • シャープレス:ピエール・ルイージ・ディレンジーテ
  • スズキ:マリアンナ・マンガネッロ
  • ゴロー:倉石 真
  • ボンゾ:松中 哲平
  • ケイト:サラ・カッペッリーニ・マッジョーレ
  • ヤマドリ公爵:藤山 仁志
  • 勅使:友杉 誠志
  • オーケストラ:ボローニャフィルハーモニー管弦楽団
  • 合唱:ヴェローナフィルハーモニー合唱団
    さわかみオペラ財団選抜合唱団
  • 合唱指揮:アルマンド・タッソ
  • 所作指導:西川 菊織
  • 照明デザイン:ジャン・ポール・カッラドーリ
  • 舞台監督:ルーカ・ラマッチョッティ
  • 演出助手:ターディア・ミレティチ
  • カヴァーキャスト:
    サラ・カッペリーニ・マッジョーレ(蝶々夫人)
    加藤 史幸(シャープレス)
    佐々木 有紀(スズキ)

メロドラマとしてのオペラ「トスカ」

プッチーニは、このオペラを「メロドラマ」とした。それは悪漢が登場し、主人公と対立する悲劇という面と、melos-歌を伴い音楽で表現したドラマという面とがある。

オペラ「トスカ」は、歌姫トスカが、恋人で共和派のマリオ・カヴァラドッシを、王党派の悪漢警視総監スカルピアから救おうとするドラマ。マリオは脱獄してきた、前ローマ共和国領事アンジェロッティを匿うが、その罪で警視総監スカルピアに捕まる。悪知恵の働くスカルピアは、共和派を倒すだけでなく、トスカをものにしようとする。

ドラマの主軸は、信仰に熱く一途にマリオを愛するトスカと、極悪非道で欲望に駆られたスカルピアの対決。

トスカは、敬虔で純粋な信仰心を持ち、一途に恋人を愛する情熱があり、また激しい嫉妬心の持ち主でもある。更に、細かい段取りを正確に計算する冷静さ、怒りと憎しみの感情の爆発、と様々な要素を兼ね備える性格の持ち主。

その中で際立っているのが信仰心と愛であり、それがアリア「歌に生き恋に生き」に表現されている。また第一幕でマリアに祈り、第二幕で殺害したスカルピアの胸に十字架を置き、第三幕最後で「おお、スカルピアよ、神の御前で(裁きを受けよう)」と言って身を投げるシーン。これらにトスカの信仰心が表現されている。

マリオ・カヴァラドッシはトスカを深く愛しており、信仰心よりも共和主義と個人の愛が行動の動機のコアとなっている。アンジェロッティを助け、ナポレオンの勝利に励まされるマリオ。そしてアッタヴァンティ伯爵夫人をモデルにマグダラのマリアを描きつつ、

トスカへの想いを「妙なる調べ」で歌い、銃殺刑の前、看守に司祭と話すことを促されてもそうせず、トスカへの手紙を頼んで「星は光りぬ」を歌うマリオ。

このドラマの背景にあるのは、王党派のナポリ王妃マリア・カロリーナと共和派ナポレオンとの政治的・軍事的対立。王党派に巻き返されたローマが、北イタリア・マレンゴの戦いでのナポレオンの勝利により、共和派が一挙に盛り返し形勢逆転してローマを取り戻す直前の歴史的瞬間。第一幕ではナポレオンが負けたという報で、マリア・カロリーナ謁見の下、勝利のミサが行われる。しかし第二幕でそれが誤報だとわかり、囚われたカヴァラドッシは共和派の勝利に喜び、スカルピアは内心、恐怖に慄く。

さてこのドラマで、アンジェロッティは自殺し、スカルピアはトスカに殺され、カヴァラドッシは拷問ののち銃殺刑に処され、そして歌姫トスカはサンタンジェロ城から身を投げる。わずか1日に凝縮されたドラマティックな展開の原作戯曲。

それを音楽劇であるオペラ、つまり「メロドラマ」として描いたプッチーニ。ここでトスカは、女優=アクトレスであると同時にディーヴァ=プリマドンナとして、演劇性と音楽性を兼ね備えた主人公として立ち現れる。劇的ではあるが散文的な戯曲に対して、劇的であると同時に叙情性と音楽性を兼ね備えたオペラ。それは歌姫トスカを描いたサルドゥの望みであり、サルドゥ戯曲の完成でもあったのではないだろうか。

千葉商科大学教授・哲学者
伊藤 宏一

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