第4回さわかみオペラオーケストラオーディションを開催しました
2023.03.04
2023年3月4日5日、第4回さわかみオペラオーケストラオーディションを開催しました。受験者数は約50名。今回も全国からオーディションに参加してくれました。
審査員は、当財団芸術監督の吉田裕史氏に加えて、モデナ歌劇場フィルハーモニー総裁でありフルート奏者ジョルジョ・ザニョーニ氏、ボローニャ歌劇場からコンサートマスター、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバス奏者、アレーナ・ディ・ヴェローナからもチェロとホルン奏者を審査員として招聘しました。
緊張感に包まれる受験会場。
控え室では、自分が選んだ自由曲を中心に練習する受験者も居れば、オペラから選んだ今回のオーケストラスタディを懸命に練習する受験者も居ます。
審査会場では、横に並んだ8人の審査員を前に受験者も「自分の音」を表現するのは、なかなか難しいそう。
審査員は「彼ら、彼女らは何を持ち合わせていて、何が足りないか、オペラの音楽に近づくには何を、どう伝えたら良いのか」と、考えながら熱い視線を送ります。
「良い演奏だ!」と感じた受験者には心から拍手し「Brava!」と称賛します。
このオーディションの特徴として、審査する場所でありながら、助言によって良い方向へ変わりそうな受験者には、その場で直接指導が行われるということがあります。
「最初の部分はもう少しゆっくり」「このオペラの場面を思い浮かべて」などアドバイスしたかと思えば、弦楽奏者の審査員が「先ほどの受験者に弓の持ち方を伝えたい!」と言い出すと、審査員3人がかりで弓の持ち手のポジションや力の伝え方を直接指導するという場面も。
その横では、別の審査員が演奏を終えたばかりの受験者に「伝えたいことがある」と呼び止め、「オペラの音楽は平坦ってことはないんだよ。コメディのようなオペラブッファもあるし、情熱的な音楽もある。心から込み上げるような音楽を意識して演奏して。テクニックも大事だけど、イタリアのオーケストラの演奏を良く聞くことも練習取り入れた方が良いよ」と助言。受験者にとっては、直接助言があるなんて、サプライズですよね。
余談ですが、審査員たちは普段から「演奏することが好きだけど、教えることも好き」とよく口にします。これまでも奏者によって演奏や音色が変わった人を見てきたので、マスタークラスの企画がある時は是非受講していただきたいです。
数日間彼らと共にした中で、オペラや日本の若手奏者について彼らはこんなことを語ってくれました。
「日本人の真面目に取り組む姿勢は素晴らしい。技術では上手なんだけど、ただ弾いてるだけになってしまっている奏者が何人かいたかな。私は若手だった頃、どんな音楽だったら歌手は歌いやすいか、感情をのせられるのか、を理解したくてパバロッティになったつもりで歌うことを試みたことがあったよ。オペラの音楽を理解する方法は色々あると思うから自分にあったものが見つかると良いよね。あとは気持ちをオープンに。オーケストラでも個性を出して欲しいな。」
世界にはいろんなオーケストラが存在していますが、どうしてイタリアのオーケストラが奏でるオペラは、より観客側の感情が乗りやすいのかが少し分かったような気がしました。これからも彼らが関わるということを想像すると、今後のさわかみオペラオーケストラの成長がとても楽しみです。
オペラに理解のあるイタリア主要歌劇場のオーケストラメンバーを審査員として迎えたことによって、当財団が目標に掲げている「オペラを演奏できるオーケストラ」への実現が少し近づいたかもしれません。
第4回さわかみオペラオーケストラの合格者は、こちらから確認いただけます。